<このイベントは、野球INSIGHTの前身の「野球ファンネット」時代に開催したものです>
◼︎開催日時
・2012年11月16日(金)19時30分〜21時30分
◼︎会場
・東京・渋谷 「Cue702」
◼︎出演
・斉藤一美(文化放送 ライオンズナイター実況アナウンサー兼ディレクター)
斉藤一美とは?

野球ファンネットの開幕直前イベントでは、MCとしてゲストを引き立て、場を回し切る斉藤一美。90年代の人気深夜番組からライオンズナイターまで、文化放送のエースとして知られる一方で、「そもそも斉藤一美はどういう人物なのか」は意外と語られてこなかった。
そこで野球ファンネットは、駅前野球大学Vol.2で、観客からの投げかけで、ふと見せた「涙」を起点に、斉藤のパーソナリティを掘り下げる独自企画を立ち上げた。
開幕は「面接テープ」から。いきなり核心へ潜る
「出だしはどうなるのか……」という観客の緊張をよそに、斉藤はラジカセを取り出し、文化放送の就職面接時のテープをおもむろに再生する。場の空気が一段階変わる。自己紹介ではなく、原点提示。いきなりノーチラス(脳内を散らす)の名にふさわしい潜り方で、会場を深場へ連れていった。
駆け出しの実況、解説者との距離、当時の心境。 ノートが裏付ける「生々しさ」

トークは担当番組の話から、野球実況担当としての駆け出しの日々へ。解説者とのやり取り、現場での葛藤、当時の心境。斉藤は当時書き溜めたノートをめくりながら、エピソードを丹念に掘り起こしていく。単なる思い出話ではなく、「その瞬間に何を感じ、どう学び、次に何を変えたのか」までが言語化される。話が立つのは、記憶だけではなく記録が支えているからである。
ライオンズのその後まで。取材に裏打ちされた「ここでしか聞けない話」
さらに、ライオンズ選手の進路や近況といった、丁寧な取材がなければ辿り着けない話も飛び出す。噂話でも武勇伝でもない。事実を積み上げた上で語られるからこそ、会場は静かに息をのむ。「ここでしか聞けない話」という言葉が、煽りではなく実感として成立する瞬間が何度もあった。思わず涙をこぼす観客がいたのも、その距離の近さゆえだろう。

近況パートで見えた、斉藤一美という人間の照れと笑い
終盤は斉藤自身の近況へ。とある台本を取り出し、「顔が古臭いので」選ばれたんですよ・・・と笑って見せる。深い話のあとにこういう自虐が挟まるあたりが、斉藤一美らしい。気取らず、逃げず、でも重くしすぎない。会場の緊張をほどく「間」を計算されている。
最後まで「人」を大事にする
イベントは予定を30分オーバーしてタイムアップ。それでも不満どころか、「まだ聞けた」と感じさせる密度だった。さらに印象的だったのは、斉藤が来場者一人ひとりを自ら見送り、全員が笑顔で帰路についたこと。ステージ上だけで完結しない。最後の一歩まで人を大事にする姿勢が、この夜の余韻を決定づけた。



